漆黒が隠す涙の雫


「ちょ!?潤くん!?」


しかも、お姫様抱っこ……なんて、ロマンチックなもんじゃない。


まるで米俵を担ぐように、ヒョイと肩に担がれてしまった私はもはや大パニックだ。


「じゅじゅじゅ潤くんっ!?下ろし…」


「掴まっててね」


「ちょ!?いやぁぁぁぁぁ」


平然とした顔で駆け出す潤くん。


物凄いスピードに私は必死に潤くんにしがみつく。



落ちるっ…!!


落ちたら死ぬっ…!!



雷無の倉庫の中に侵入した潤くんは、飛びかかってくる連中を軽々とかわしていく。


私を担ぎながら、何でこんなに俊敏な動きが出来るの!?


普段の無気力な様子からは、想像も出来ないような素早さだ。



「潤くん!!どこに向かってるの!?」


「新のとこに決まってるでしょ」


「え!?だ、だってさっき潤くん止めようとして……」


「会いたいんでしょ?どうしても新に」


「……っ」



会いたい。


凄く会いたいに決まってる。


お兄ちゃんに会って、聞きたい事が山ほどあるんだ。



「……うんっ!潤くん。お兄ちゃんの所に連れて行って!」



「了解」