漆黒が隠す涙の雫


「まったく…。突拍子もない所は、新にそっくりだね」


「潤くん…」


「帰ったら、お仕置きだからね」


そう言うと潤くんは、外していたマスクをつけ直し、男達へと向き直った。


「新は今ここにいるの?話したい事があるって言ってくんない?」


「い、いたからなんだよ!!新さんは、お前に話なんてねーよ!!」


「俺は話があるんだよね。出てこないならこっちから行くけど?」


「行かせるわけねーだろっ!!」


潤くんの胸ぐらに男が掴みかかってきて、私は思わず手で顔を覆った。




「じゃあ悪いけど、強行突破させてもらうわ」



ビュウッと風が吹いたかと思うと、私達の横を通り過ぎ、男達に向かっていくふたつの影。


「昴。修二。後は頼んだ」


「「了解」」


彼らは、男達に掴みかかると、男達の腕を捻り上げ、あっという間に取り押さえてしまった。


「愛華。行くよ」


「え!?」


「走るの得意?」


「え?えっと…あ…あんまり……?」


「ふーん。じゃあ、ちょっと我慢して」


「えぇ!?うわっ!キャッ…!?」


私の事を軽々と持ち上げる潤くん。