「わ、私…あの…おに…おに…」
「何て言ってるか分かんなーい!」
ギャハハと言って笑う男達に、ビクンと肩が上がる。
この人達、きっと私の話なんて聞く気がないんだ。
だけど、そう理解した時にはもう遅くて……。
「まぁ、俺達が話聞いてあげるからさ?ちょっと一緒について来てよ」
目配せをしながら、クスクスと笑う男達。
その中のひとりの男が私に手を伸ばしてくる。
やだ!!
触られるっ!!
そう思った瞬間。
「汚い手で触んないでくれる?」
私を庇うように自分の胸に引き寄せて、私に触れようとした男の手を掴んだのは紛れもなく潤くんで……。
いつもの潤くんからは想像出来ないような鋭い視線を男達に向けている。
何て表現すればいいんだろう…?
背筋が凍るようなオーラって言えばいいのかな?
空気が震えるようなその迫力に男達はみるみる青くなっていく。
潤くんが“暴走族の総長”っていうのを今初めて実感した気がした。
「葛原…潤!?何でお前がここに!?」
男が潤くんの手を振り払いそう叫ぶが、そんな男達を尻目に、潤くんが私へと視線を向けた。



