潤君を見上げると、凄く近い距離に彼の顔があって、どこか切な気で艶っぽい瞳が驚いた様子の私を映していた。


「潤くん……?」


潤くんの右手が私の顎を持ち上げる。


ゆっくりと私に落ちてくる潤くんの唇。



ちょっと待って?


えっ!?


ちょちょちょ…ちょっと待って!?


これって……まさか……!?


「じゅ…っ」






「誰かそこにいるのか!?」





倉庫内から、聞こえる怒鳴り声。



驚きのあまり飛び跳ねる私とは裏腹に。


「ヤベ」


大して焦った様子もなく、そう漏らしただけの潤君は、私の腕を引いて茂みへと移動する。


身を隠したと同時に倉庫の扉が勢いよく開いて、厳つい雰囲気の男達が顔を出した。


「何だ?気のせいか?」


「確かに声がした気がしたけどな」


男達は、辺りを見回しながら不思議そうに首を傾げている。




「雷無の下のヤツらだ。愛華。もっと頭低くして」


「う…うん…」


茂みの中で、私は潤くんに庇われるように身を潜めていた。


頭に潤くんの手が置かれていて、そこからじんわりと熱が広がっていく。


潤くんの息遣いを感じながら聞くその囁き声は、妙に色っぽくて……。