試練、7日目の朝----。
「----いやぁ、すんません。うちの子供等がご迷惑をお掛けしました。」
「いえいえ、お迎えに来て頂けて良かったです。深夜に河川敷で寝そべってるこの子達を見つけた時は本当にびっくりしました。お兄ちゃんの方は高校生でも、弟くんは小学生でかなり体も小さく見えたので。夜遊びもほどほどにするよう、言い聞かせて下さいね。」
「ええ、ええ。それはもう、勿論です。」
話し声に起こされて静かに目を開けた。
ゾワゾワ、ゾワゾワ…ッ
寝惚け眼に"あの人"の姿が目に入ると
私の背に強烈な悪寒が駆け巡る。
会話の主の目線がこちらへ移る前に
私は咄嗟に目を瞑り、まだ眠っているフリをした。
「実は昨日の昼にも近くの公園で殴り合いのケンカをしている学生がいると、通行人から連絡がありましてね。
詳しい目撃情報が無くて、この子達かはわかりませんが…。
あの、お兄ちゃんの方…失礼ですが、前歯はどうなされたんです?」
「いや〜、喧嘩っぱやい奴でしてね。先日も同級生と喧嘩ですわぁ。こちらも親が僕一人でしょう。
母親がいればこんなふうにはね…。」
「そうでしたか…。それは心中お察しします。
実はうちにも反抗期の息子がいるんですよ。最近はどうにも手がつけられませんでね〜。」
「それはそれは、お互い苦労しますねぇ。
けど、それでも手がかかるほど可愛いって言うじゃないですか。」
「はは、本当ですね。
目が覚めてお父さんの顔を見たらこの子達も喜ぶと思いますよ。起こしましょうか?」
「いやいや、今はまだ!気持ち良さそうに熟睡してんで、あともう少しだけこのまま寝かしといてやって下さい。あ、でもお邪魔ですかね?」
「いえ、大丈夫ですよ。お昼休憩になるまでこの部屋誰も使わないんで。そしたら目が覚めるまでお父さんもここでお待ちくださいね。」
「あ〜、分かりました。ありがとうございます。えっと、帰る時はお声掛けした方が…?」
「あ、結構ですよ。そのまま帰っていただいて。」
---聞こえる会話に、寒気が止まらなかった。
連絡をとったりしないと、そう言ったのに!!!
吐き気と憎悪で気が狂いそうだった。
---そして、警察官がいなくなると…私達の耳元で低い声が囁かれた。
「おい、とっとと帰るぞ。さっきから起きてるんだろう?」


