【完】悪魔な天使


連れてこられた警察署の中で、
話はずっと平行線だった。


「だから、君たちの名前と住所は?」


「わかりません。忘れました。」


「分からないって…、困ったなぁ…」


もう30分もこの会話だけで押し問答を繰り返してる私達。


警察官も痺れを切らしているようだった。


「もう夜中の11時だし、携帯も貴重品も持ってないときた。
君たちのような子供が外に出歩いていい時間じゃないんだよなぁ…。」

「はぁ。」

「学校は?君が10歳で、お兄ちゃんの方が16歳だっけ?」

「学校は、通ってません。」

「小学校は通ってるでしょ〜?」

「分かりません。」

「わかりませんって…、本当そればっかだな〜…」


「分かった。じゃあ、もういいよ。君たちももう眠いでしょう?仮眠室で寝ていて待ってて。」


「待ってるって…、何をですか?」

「保護者の方に連絡がつくまで、ちょっと待っててってことだよ。」

「大丈夫です。すみません。本当は僕たち、自分の家わかるので勝手に帰ります。」

「まぁまぁまぁ、落ち着いて。保護者の方に連絡が取れたら何かまずい事でもあるのかな?」

「別に…。」

「とりあえず、帰り道がわかるなら送り届けるよ。」

「いえ、大丈夫です。」

「そういうわけにも行かないんだよね〜…。」

「………。」

「わかった。じゃあ、とりあえず朝になるまでここにいて、それから君たちは帰りなさい。親御さんに連絡をとったりしないから。」

「………。」

「それならどうだろう?」

「わかりました。…じゃあ、そうします。」



口論の末、渋々お兄ちゃんと私達は
警察署内で一晩を過ごすことにした。


ようやくお兄ちゃんと2人きりになることができて、
ホッとした。
2人して黒いソファーの上に寝転んでいると、
婦警さんが、そっと薄手の毛布をかけてくれた。





心の隅に残る多少の不安を抱いて
お兄ちゃんと手を握り合いながら
いつのまにか眠りについた。



警察の人の言う事を信用していたのに、



大人はずるい----。