行くあてもなく歩き疲れて、
夕暮れ時に行き着いた場所は河川敷だった。
芝生にお兄ちゃんが座りこんだので、
私も隣に体育座りする。
「決めた。」
唐突に喋り出したお兄ちゃんに
「…なにが?」
と聞き返してみる。
「俺、死ぬのやめる!」
「………」
そんな思わぬ発言に
驚きすぎて言葉を飲み込んだ。
「ずっと…、死にたいって、思ってたんだ〜。」
お兄ちゃんから、初めて聞く弱気な発言に
動揺を隠せない…。
「うん…。」
こんな時、
ただ相槌しか打つことのできない私を
お兄ちゃんは、どう思うのかな、、、。
「母さんが死んでから、あいつに支配されるのが嫌で。
学校も不登校が続いてるうちに居場所がなくなってさ。
バイトで働いても働いても金奪われて…。
…俺は…一体…
何のために生きてるのか、
…分からなくなっていった………。」
「…うん。」
「今すぐ自殺したら、楽になれるのかなーって思ったり思わなかったり。」
「………。」
「でも、ナオが居る。こうなってみて改めて気付いたんだ。弟の、お前の大切さに。だから俺はまだ頑張れる。死にたくねぇーって、叫びたくなった。」
夕焼け色に照らされる
真面目な横顔に
不覚にも、ドキッとしてしまった。
「気づかせてくれて、ありがとうな。」
どんな顔をしたら良いのか分からなくて、
俯いていると、お兄ちゃんはまた頭をクシャクシャに撫でてきた。
「こちらこそ、…ありがとう。」
ありがとうと言うのって、
こんなにも恥ずかしい事だったのか…。
でもなんか、
正直に気持ちを伝えるのって、
すんっごく、清々しい気持ちになる。
恐らく真っ赤になっているであろう
自分の顔を持ち上げると、
お兄ちゃんの目から
一雫の涙が、頬を伝っていくのが見えた。
やっと分かった。
お兄ちゃんの望む事。
彼の願いは
きっと、
--- 兄弟共に、生きること ---
そんな当たり前のことだ…。


