お兄ちゃんの奇怪な発言に
「え!?なんで、お金もないのにスーパー?」
と、聞き返したのは言うまでもない。
「いいから、ついてこいよ!」
ハニカミ笑顔で手招きされて
私が付いていかないわけがないじゃないか…!
目的は分からないけれど、
お兄ちゃんの言う通りに
私達は近くのスーパーへ行くことにした。
スーパーの中へ入ると、
お兄ちゃんは意気揚々と
試食コーナーへ。
ああ、
やはり、これが目当てだったのか。
「ほら、このパンめちゃくちゃ美味い!ナオも食ってみろよ!」
人目が気になったけど、一口食べれば周囲のことなんて関係なくなって、
あっという間に自分一人で試食を平らげてしまった。
ハッ!!
じとーっとこちらを見据える店員さんの姿に気付き、私はお兄ちゃんの腕を引いてそそくさと店内から退散した。
「なんだよナオ!美味かっただろ?」
こんなふうに屈託のない笑顔のままそう聞いてくるもんだから、
私も困ってしまうのだ。
これじゃあ、なんでスーパーの試食なんだ!と指摘することさえ嫌になる。
だって、
逃げてばかりかもしれないけれど
お兄ちゃんと居る事はこんなにも楽しい。


