【完】悪魔な天使



お兄ちゃんの幸せな寝顔を見つめながら、
ぎゅっと手を繋いでいると、
遠くの方で微かに足音が聞こえてきた事に気がついた。


私は慌ててお兄ちゃんの肩を揺さぶり起こすと、出来るだけ小さな声で囁いた。


「お兄ちゃん大変…!誰かがこっちに向かってきてる!」


お兄ちゃんはパチりと目を開けて、
辺りを見渡してから私に言った。

「あそこに小窓がある!俺らガリだからきっとあそこから抜け出せるだろ!」

「う、うん!」

「急げナオ!」


お兄ちゃんの指差す方に、確かに小窓があるのだが、どう見ても私の背では届かなそうだった。


もたつく私に、お兄ちゃんが勢いよく肩車をして私を小窓から押し出した。


脱出した私は塀の上に登って、納屋に残るお兄ちゃんへと手を差し伸べる。


ガチャ---


納屋の扉が開く音がすると、すぐに

「…誰かいるのか!?コラー!」

と、年老いた人の声が聞こえた。


「やっべー!」

お兄ちゃんは私の手を取り、素早い動きで小窓から抜け出ると、流れに任せて私共々、塀の上からジャンプした。



「走るぞ!!」


お兄ちゃんに手を引かれて走り続けて、
私はまたこんな状況でも笑ってしまうのだった。