夕闇の中、お兄ちゃんと2人で手を繋いで、アパートの階段を駆け下りた。
私達は想像していたよりもずっと簡単に、
逃げる事ができてしまった。
アパートが見えなくなるまで、力の限り、走った。
やがて体力の限界を迎えても、
お兄ちゃんを支えながら、
そして支えられながら、
歩き続けた。
見知らぬ土地の、見知らぬ坂道にたどり着いた頃、
私とお兄ちゃんは顔を見合わせた。
そしたら、なんでかな。
2人して、泣きそうなのに
笑いがとまらなかった。
笑って、微笑って、嗤い転げて、
嬉しい涙で夕焼けが滲んだ---。


