「あ〜、本当に…苛々するなァッ!!!」
玄関から戻ってきた父親が、突然ゴミ箱を蹴り飛ばしたので、
私はまたビクビク全身を揺らしはじめた。
「俺、お前の担任、大嫌いなんだよ!なんであんな奴のクラスになったんだよ。人が気持ちよく寝ていたっつうのに。誰のせいだ?」
「お前だよ!お前!何でずっと黙ってんだよ?…気持ち悪りぃなぁ!なんも食ってねぇくせにゴキブリみたいに息しやがって!なぁ?お願いだから早く死んでくれよ!!!」
「…ああ、そうか…。やっぱり俺が間違っていた。お前にも仕置きが必要だったんだ。悪いのは全部お前っ!気持ち悪いお前が悪いよ!!」
情緒不安定に矛盾した言葉を連ね合わせて、
父親の大きすぎる拳が私の頬を殴りつけた。
衝撃が歯と骨を伝って行き、脳を揺さぶった。
ゴウンゴウンと定まらない視界の中で、
体が勝手に這い蹲って逃げようとする。
「だからゴキブリだって言ってんだよ。生にしがみついて何になる?お前の存在価値なんか害虫以下なんだよ!!」
「ぁ…だ………やっ…!たっ…けて………にぃちゃ…おにぃ…ちゃん…!」
「もう助けてくれる兄貴は死んだんだよ。お前が殺したんだ!!わかるか?こいつはお前を助けようとして死んだんだよ!!お前が生きてなかったらこんなことにはならなかった。誰が金稼いでくんだよ!?どうすんだお前!責任とれんのか!!!!」
「っやだ!!そんなの…嫌だああ!!!ギャアアア!!」
今度は父親の膝が、私の顎にヒットして
歯と歯に挟まれた舌から、血が溢れでてきた。
激しい痛みにのたうち回ることしか出来ないでいると、物凄い力で無理矢理に洋服を脱がされた。
あっという間にすっぽんぽんになった私は口と手をテープで縛られてベランダへ放り出される。
抵抗もできずに、父を見上げると、
父親はニヤリと笑ってこう言った。
「害虫は外に出てて?死にたくなったら飛び降りな。」
無情にもカチャッと、ベランダの鍵が閉められた。
私がどんなに泣き腫らしても、
その扉が開かれることはなかった…。


