私達は、すぐに家中の食料を掻き集めた。
1つしかないボロのリュックに数枚の着替えと、掻き集めた食料を詰め込んで。
玄関を出ようとした瞬間、
「あっ、ちょっと待って…」
お兄ちゃんが何かを取りに部屋へと戻っていった。
「どうしたの?」
「大事なもの忘れるところだった。これも持って行かなきゃ。」
お兄ちゃんはしずく型のチャームがついたシルバーのネックレスを手に持って戻ってきた。
「それって…」
「母さんの形見。連れてってやんなきゃ可哀想だろ。」
「……、」
ここで始めて、母という存在がいない事に気がついた。
そうか。私達のお母さんは死んでしまったのか…。
「ナオが持ってろよ。母さんに似て体の弱いお前をきっと守ってくれる。」
ネックレスを手渡されたので、私はそれを失くしてしまわないように自分の首につけた。
その時だった…
「おいおい、2人でどこへ行くつもりだよ?」


