「病室でDVD見れると思う。今度母さんにDVD持ってきてもらうよ」
「ありがとう…」
かすかに頬を染めた加代は、掃除のし終わった看護師が所在なさげに待っているのを見て、慌てて歩み寄った。
「すみません、ありがとうございました」
「ああ、大丈夫ですよ。それより加代さん、この時間は点滴の時間じゃないですか?」
「えっ」
そういえば、そうだったかと思い出しかけた加代は、突然目の前が歪んだように感じて戸惑った。
「あ、れ…」
「……加代さん?」
訝しげに加代の顔を覗き込んだ看護師が、はっと口に手を当てた。
「加代さん、大丈夫ですかっ?」
「加代?どうした、加代?」
二人の声が耳元でぐわんぐわんと空気を揺らし、頭蓋を不快に響かせた。
声を出せないほど気持ち悪くなった加代は、かがみこむと唐突に意識を失った。
「加代っ!!」
青白い顔色に、良は自分を殴りたくなった。
どうして気づけなかったんだ。
きつく血の出るほどに唇を噛み締めた良は、すでに医者を呼びに行った看護師を確かめ、ぐらりと傾いた加代を支えた。
「ありがとう…」
かすかに頬を染めた加代は、掃除のし終わった看護師が所在なさげに待っているのを見て、慌てて歩み寄った。
「すみません、ありがとうございました」
「ああ、大丈夫ですよ。それより加代さん、この時間は点滴の時間じゃないですか?」
「えっ」
そういえば、そうだったかと思い出しかけた加代は、突然目の前が歪んだように感じて戸惑った。
「あ、れ…」
「……加代さん?」
訝しげに加代の顔を覗き込んだ看護師が、はっと口に手を当てた。
「加代さん、大丈夫ですかっ?」
「加代?どうした、加代?」
二人の声が耳元でぐわんぐわんと空気を揺らし、頭蓋を不快に響かせた。
声を出せないほど気持ち悪くなった加代は、かがみこむと唐突に意識を失った。
「加代っ!!」
青白い顔色に、良は自分を殴りたくなった。
どうして気づけなかったんだ。
きつく血の出るほどに唇を噛み締めた良は、すでに医者を呼びに行った看護師を確かめ、ぐらりと傾いた加代を支えた。

