ふたりぼっちの指切り

加代。

加代。

何度でも名前を呼びたかった。
呼んでいたかった。

なんてことを言うのだろう、自分の一生一番大切な人は。自分の明日の意味をつくった少女は。

どれほど切ない。
なんて哀しい。

一体どんな気持ちでこれを書いたのかと思うと、やるせなくて言葉が出なかった。

どうして。

“あなたの生きる理由になれたら”だなんて。

とっくになってる、馬鹿。

そう言いたいのに言えないもどかしさにおそわれ、良はうめいた。

なりたい、でなくなれたらと書くところがまた彼女らしくて、希望を持つくせに諦めたように笑う癖を懐かしく思った。

生きようと決め、生きたいと願い、それなのに最後の最後に希うのは僕のことで。

僕なんかという言葉を、彼女は決して言わせてくれない。それすらも優しくて、あまりにお人好しだ。

あとからあとから溢れ出る涙がみっともないからはやく拭いたいと思うのに、それをする意味すら見つけられなかった。

ああ、今すぐ君に会いたい。

病室でした約束を、叶えないままに消えてしまった君を追いたい。

それでもその約束が、皮肉にも彼を引き留める。

桜の花びらのひとつひとつが、空の色が、春の匂いが、彼女の屈託のない笑い声を思い起こさせる。