ふたりぼっちの指切り

「晶子さん」

「…あなたは…ごめんなさい、名前が思い出せなくて」
腫れた目元をハンカチで軽く押さえながら振り向いたベッドの上の女性に、少年は控えめに微笑んだ。

「良です。宮城良」
「あ、ああ…そうでしたね、ごめんなさい」

どことなくぼんやりとした雰囲気の晶子を見て、良は言葉を選んで口を開いた。

「…今日は、いい天気ですね。快晴で」

当たり障りのない話題を出したつもりだったが、突然晶子の目から涙が溢れたので、良は目を見開いた。

「すみません、僕何か」
「いいえ、いいのよ…あなたは何もまずいことは言っていないわ」

遮った晶子は、苦笑して「もう二週間なのね」と呟いた。

「あの子がいなくなってから…もうそんなに経ったのね。随分暑くなって…こんな眩しい青空を見たら、きっと喜んだろうに」

「そうですね…」
空を見るのが好きだった加代のことを、良も知っていた。見舞いに行くと空を眺めていて、今日はいい天気だとからりと笑っていた。