ふたりぼっちの指切り

「立ち直れそうな気がする?」

「まだ分からない。でもお母さん、そんなに思い病気ってわけじゃないし。そばにいてくれるなら」

誰が、とは敢えて言わなかった。

「ありがとう。ごめんね」
「なんで謝るんだよ」
「ううん…うん、そうだね」

何回かかぶりを振って、加代は明るく笑った。少し変な態度に良は一度首を傾げたが、それ以上追及しなかった。

「私ね」
「ん?」
加代は仄かに微笑んだ。
「良がいてくれてよかった」

良は一瞬きょとんとした後、朗らかに「ぼくもだよ」と答えた。

すると、加代は安心したようなあどけない笑みを見せた。

「そっか…」
「…加代?」
どこかとろんとした目に違和感を覚え、良が問いただそうとした。

そのとき、何の告げもなく唐突に痩せた体が落ちた。それはまるで、不意に重力に負けたようだった。

傾く瞬間に良が目を向けた加代の唇は、微かにごめんという口の形をして見えた。