もう何もかもどうでもいいのかもしれない。

今私は何を考えているのか。

心の奥底では、良を憎んでいるのだろうか。
好きなのだろうか。

そんな感情さえ持っていない、と加代は決別するように目を細めた。

突き詰めて考えてみれば、突然の環境の変化に降りた一本の細い命綱に、捕まってやり過ごそうとしただけだったのだろうか。現れた同じ状況を共にする同胞に、同じような共感を抱き、それを勝手に特別な感情と位置づけていただけだったのだろうか。

今さら膨れ上がるその不安とも呼べる疑問を、一蹴するすべが加代には無かった。

拠り所のない加代にとって、良は確かにただ一つの寄る辺であり、支えであったからだ。
こんなにも急速に大きな存在となったのはやはり、それだけのことなのか。

違うと思おうとする心が、思いたい加代自身が、贔屓になっているかもしれないと唇を噛み締めた。

(私は一体、何がしたいんだろう)

なにしろ、果たして否定を求めているのか、肯定を求めているのか。それすら闇の中である。

頬杖をついて、そんなことをつらつらと考えていると、加代はいつの間にか寝入っていた。