ふたりぼっちの指切り

「どうして…」

身勝手に振舞って、身勝手にあなたを傷つけた。
そんな人間なのに、あなたはどうして優しくしてくれたの。

跡のつくほど握りしめた拳が、かすかに震えているのを見て、織音はふっと真剣な顔つきになった。

「加代ちゃん。自分の気持ちに素直になって。卑屈になることと謙虚はね、同義じゃないの。それは、自分への好意をも無下にするということよ」

あなたが今何を思っているかは、推して測るしか出来ないけど、と付け足して織音は真っ直ぐに加代を見つめた。

「自分のことなどどうでもいい、なんて思っては駄目よ。自分の周りに与えている影響をよく考えなさい」

「…どうしてわかったんですか」

織音は微笑んで、
「年季の違いよ」と言った。

「でも、私は嫌な奴で、人を傷つけたり、嫉妬したり、当たり前に皮肉な人間で。…全然、人から想われるほどの存在には、自分がなりたい存在にはなれなくて」

言うほどにやるせなくなるのを感じながらも、加代は俯いて続けた。

「大切な人にほど近づけないって、本当なんですね。私はわりとフレンドリーな方だと思ってた」

近づきたいのに拗ねてみたり、気のないそぶりで誤魔化したり。
自分のためのことだったのだ。思い返せば、全部。

「思い出すほど、自分が……嫌になる」

空気に紛れてしまうほどの小さな呟きに、織音は黙って加代の告白を聞いていた。