ふたりぼっちの指切り

「………!」

今は、何時だ。

再び寝たことを頭の隅で理解した加代は、数時間後に起き上がった。
短針が11を指しているのを見て、思わず頭を抱える。

「どれだけ寝てるんだよー…」

自分をはたきたくなるのをこらえ、加代は顔を洗おうとふらふら歩き出した。
「……ん…」
寝ぼけ眼をこすりながら、顔を洗って少しは覚めたかという脳に、散歩でもするかと語りかける。

病室のドアを開けて踏み出した加代は、柔らかいかたまりに頭を突っ込んでしまった。

「…っ?」

もがもがと口を動かすが言葉にならず、突然それが顔から外れて、加代は息を吐き出した。

「ごめんなさい、ぶつかっちゃった?」
「え、あ、はい…」

きょとんとして見上げると、大きなうさぎのぬいぐるみを持った優しそうな女性が立っていた。

拍子抜けしてそれ以上口を開けずにいると、その女性は照れたように微笑んだ。

笑うと目尻のしわが目立ち、穏やかに整った顔をさらに優しげに見せている。

内側に少し巻かれた、セミロングで暗めの栗色の髪が顔周りをふちどっていた。