ふたりぼっちの指切り

「…加代、昨日はあまり眠れなかった?顔色、あまり良くないわ」
「え…そう、かな」

ぼんやりと外を眺めていた加代を、晶子は気づかわしげに見やった。
「良さんと喧嘩でもしたの?」
「…え」
いきなり図星を突かれ、怯んだ加代に晶子は目を合わせた。

「加代がまだ目を覚ましていない早朝のうちに、良さんが来たのよ。ほら、そこの花瓶に挿してあるでしょう?」

母の言葉に、無理やり首を回すと、ふんわりとした雰囲気の黄色い花々が透明な花瓶に挿してあった。

「これ…良が…」
呟いて、花を撫でた加代に晶子は少しだけ忠告をした。

「大事な人とは、はやく仲直りした方がいいわよ。大事な人ほど、どこかへ行ってしまうものだから」

繋ぎ止めなくちゃ、と笑う母を見つめ、それを重く受け取った加代は神妙に頷いた。

「でも、私…もう何をしたらいいのか、解らない」

顔を伏せた加代は、涙の出ないようにきつく眉を寄せて、目を閉じた。

「そんなときは…」
続ける母の言葉がぼんやり聞こえたが、いつの間にやら現れた睡魔に加代の体は支配された後だった。