ふたりぼっちの指切り

先に口を開いたのは、少年の方だった。

「加代、聞いてほしいことがある」

真剣な声音に、加代はかすかに肩を跳ねさせた。

「…なに」

自分の口から出たのは、思っていたよりずっと硬い声で、自分自身に驚いた。

良も少し驚いていたが、続けようとした。

「まって」

加代は、鋭い声を出した。
だが、それ以上声を張れず、尻すぼみになったが、「言わないで」と囁いた。

怯えている、そのことに加代も、良もようやく思い至った。

その一言で変わってしまう何かが恐ろしい。

「どうしてだ」
優しく語りかける少年に、少女は固い面持ちで唇を引き結んだ。
「いやなの。…言わないで」
「…なんでだ」
「こんな体なのに、もうすぐこの世から消えてしまうというのに」

言うとさらに現実味があって、加代はかたく目をつむった。

「今さら、あなたに対してなど、何を想えるというの…」
「……僕に対しての気持ちをすべて、嘘にすればいいなどと思っているのか」

良がしゃくり上げた加代の華奢な肢体を軽く抱きしめると、加代はゆるゆると首を振ってそれを押し戻した。

「あなたは私を好きになってはいけないのよ。私だって」

慎重に言葉を選んだ加代は、怯えに瞳を曇らせているようだった。