ふたりぼっちの指切り

私が最近良に遠慮していたことを見抜かれていたのだ。さすがに分からない良ではなかった。人の感情に敏感な性質なのを何日か見てきて知っていた。

そして、どきりとしたのは、たしかに加代から良の病室に出向いたことは一度もないのであった。

(だって、良が来てくれるから….)

ただでさえ出来たばかりの不安定な関係性を壊したくなくて、思ったことや言いたいことを気づかぬうちに抑え込んでしまっていたのだ。

(開き直るなど、とても出来ない…でも、それでも、謝ることだって)

たしかに責任の一端は加代にあると自分でも思うのだが、悪気ではなく、その上良の態度もどこか気が立っていたと思うのだ。

素直に謝ることが出来ないのはそのせいだった。

(一度、自分は悪くないと思ってしまうと、素直になれなくなる…)
全くもってかわいくない女の子だと、加代は心の中でため息をついた。

「わかった。お互い一旦頭を冷やすまで、会わないようにしよう」
「そうさせてもらう」

いつもよりやはり素っ気ない良の態度に、初めは穏便に済ませようと考えていた加代も、段々むかむかとしてきた。

そっちがその気なら、こっちだってまともに口を利いてなどやらないという気持ちになってしまったのだ。

でも、これは考えようによってはいい機会なのかもしれないと加代は良が出ていってから落ち着いて考えた。

(私たちは、知らず知らず依存し合っていたのかもしれない)

真に理解し合うには、この亀裂は必要だったのかもしれないとまで考えたが、それでもやはり、亀裂が入って良かったとはとても思えないのだった。

それでも案外、ただ加代が来てくれないことに拗ねたのではないかと一瞬そんなことが頭をよぎったが、あまりに自分の願いに沿った都合の良い予想だと気づいて、思わず誰もいない病室なのに赤面した。