あなたの幸せを心から願う

ここにいるはずのない路唯くんがいた。




「あ 起きた?




小春が話あるっていうから、言葉よりも体が先に動いてた。」





そうだったんだ。





言わなきゃ。




病気のことも私の想いも。





「私ね、花火大会の前に病院に行ったの。




電話の音がね聞こえにくくて…




そしたら先生に右耳が少しずつ聞こえなくなるって言われた。」





そこまで言って路唯くんの肩がびくっと揺れた。



「それって、」





言葉に詰まってしまった路唯くんに





「最終的には聞こえなくなるの。」




そう言うと同時に路唯くんに抱きしめられた。





「ごめん、おれそんなの気づかなかった。




小春が苦しんでる時に気づいてやれなかった。」





まるで自分を責めるように。





路唯くんは言った。