MEMORIZE BLUE

大きく澄んだ瞳に改めて見とれていると、「ちょっと、聞いてる?」と小夜の咎める声で我に返った。

「ご、ごめん」
「まったく。…葵、いつまでもそんなんでいいの?友達もろくにいないでしょ」

遠慮なく痛いところを刺してくる小夜に、容赦ないなぁと葵は困ったように笑った。

「いいんだ。別にそれで困ることもないから」
「あるでしょう!ペア組みとか、色々。葵はそういうのを分かってないんだよ。世渡りってやつ。私だって最低限自分が不利にならないように計算はしてるよ」
「そうなの?」
目を瞠る葵に、小夜は深々とため息をついた。

「社会に出てそれでやっていけると思うの?友達作りっていうのは、一種の人脈作りの練習よ。ここで学ばないで何なのよ」
「…随分、ビジネスな考え方だな」
「そうじゃないとやっていけないの」

大人は誰も庇護してなんかくれないんだから、と言った小夜は、自分なんかよりずっと大人びて見える、と葵は思った。