MEMORIZE BLUE

手に持っていた絆創膏を小さく破って、葵は
何かをこらえるように目を閉じた。

「葵」
目を開けると、佐島が立っていた。

「どうしたの」
「歌詞、進んだ?」

あっと声を上げた葵のバツの悪そうな顔を見て、佐島はやわらかく笑った。

「あのさ」

息を吸って、気づいた。

何も言えなくなって押し黙った葵を、心配そうに佐島が見る。

「葵、どうしたの」
「……っ…」

名前なんて、呼ばないで。

そう言いたいのに正反対の気持ちがあって、言葉を呑んだ。

「大丈夫、何でもない。またね」
「え、ああ…また」

それでも少し戸惑ったようにこちらを見ながら席についた佐島に、自分の精一杯で笑った。