なんだかんだ言って親切なこの頼れる友人には、二年で同じクラスになってから知り合った。その頃から可愛らしいことで知られてはいたが、あまりグループに属さない葵は縁がないと思っていた。

だが、中二の夏の林間学校で、バスの席が隣だった小夜はよく話しかけてくれ、上手いことも言えなかった葵だったが、なぜか気に入ってくれたらしい。

いつも本を読んでいる葵に何かと絡んでくるようになり、しかしその絡み方もしつこくなく引き際を心得ているようで、次第に葵も好感を持った。

未だに何故人気者がこんなに仲良くしてくれるのか分からないのだが、二人でいると居心地がいいのでしばしば一緒に弁当を食べたり、図書館に行ったりすることも増え、三年でまた同じクラスになってからはもっぱら葵の話し相手だ。

「小夜がいてくれてよかったよ」
いい友達に恵まれた、と心底思って言うと、どうしてか小夜は顔を赤くした。