何せここは中高一貫の私立校だ。つまり、転校生は非常に珍しい。

注目の的となった転校生の影が入り口のドアに映ると、高身長で女子が期待に満ちた視線を向ける。

(転校生がイケメンの高身長とか、漫画の中の話…)

それらを諦観していると、ドアがガラガラと開いた。

「…えっ」
入ってきた男子の顔立ちを見て、一瞬で教室の空気が変わった。

ある者は動悸、ある者は恐怖、ある者は拒否、ある者は好意、そして好奇心。

なんせその顔立ちは、退屈そうな顔をしていても引き付けられるほど全てのパーツが整っていて、濃くはないが華のあるものだった。

このクラスにも格好いいと言われる部類に入る男子はいるが、一線を引いてテレビのアイドルタレントくらいは軽く務まりそうだった。

「瀬見川、大和です」

一呼吸置いて誰もが次の言葉を待ったが、それは間ではなく終わりの合図だと気づいて女子が残念そうに息をついた。