帰り道、小夜も葵も五分は言葉を発しなかった。

お互いに探りながら歩く道は気が重く、いつもの何倍も長く思える。

(小夜とは重いことは話さずに、楽しいことだけ話していられる友達だと思っていたのにな)

そんなものは友達とは言わないのだと痛感した。
臭いものには蓋をする、そうして表向きだけ楽しくやっていけても、どこかで必ず綻びが出る。
腹を割って話さなければいけない時が来たんだ、と葵は口を開いた。

「葵」
「小夜」

え、と声がこぼれ出る。
びっくりした顔のお互いを見合って、思わず笑ってしまった。

「ハモっちゃったね」
「うん」
くすくすと笑い合いながら、ふいに小夜が真剣な顔つきになる。