MEMORIZE BLUE

一斉に注目が集まり、たじたじとなる葵とは対照的に佐島はそれを喜ぶようにまた大声で言った。

「部活ない奴、あってもサボれる奴」
サボりって、とあちこちで小さく笑いが上がった。

「俺、行ける」
「私も」
ちらほらと手が挙がり、佐島はその数を手早く数えた。

「19人…まあ妥当だな」

その数より、それを妥当だと言った佐島に葵は驚いた。42人中の約20人、半数近くも集まるとは。

急に言って、しかも面倒臭いと嫌がりそうな発声練習なのに。

あの状況に怯えた私とは何もかもが違うと思った。

なんというか、声を出すのに慣れている人だなと思った。そのままの意味ではなくて、大勢の前で意見を述べるのに躊躇いを持たない人とでも形容すればいいのか。

(努力しても、あんなふうにはなれないのかも)
憧れながらその遠さに、肩で息をついた。