「どっから仕入れてきてるんだか」

呆れと尊敬の念を込めて言うと、小夜は笑いながら軽く頭を掻いた。

「うちのクラス来るといいね」

「うん」
あまりゴシップに興味の無い葵の返事が遅くなるのは致し方なかったが、小夜は話の合う友達の元へ歩いていった。

(転校生、ねぇ…)

そういう話に疎い葵が、転校生が後々嵐を呼び込むことになろうとは想像もしていなかったのも、当然であった。

頬杖をついて空を見つめる葵に、上から影がさした。疑問に思い見上げると、

「さ、佐島」

後ずさりかけて椅子に座っていたこど思い出す動揺っぷりであった。

「おはよ」

ぶっきらぼうな挨拶を向けられたのが自分だと気づかずに数秒間固まっていた葵は、ようやく自分への挨拶だと気がついて、こちらが狼狽えるほど慌てた。

「ごめん、おはよう」