MEMORIZE BLUE

もともと理系科目の方が得意で、文を作るのが苦手なのだ。読解問題を解こうとすると、あまりの分からなさに頭痛がする。

心情なんて人それぞれで、その文章から推測しているに過ぎない。定まった答えのないその独特な教科は、はっきりしていなくて苦手分野なのだった。

思えば思うほど、歌詞係に向いていない条件を集めてしまう。

寝転んだ葵はため息をついた。

書くべきこと。

書きたいこと。

書けばよさそうなこと。

伝えたいことをただ書くのは簡単で、伝わるように書くことが難しい。
誰かがそんなことを言っていたが、伝えたいことさえ見つけられないままなのにそんなこと。

そのまま浅い眠りに落ちた葵は、鳴り響いたメールの受信音に呼び覚まされた。

「ん……」
手探りで固いスマートフォンの触感を探り当てると、起動する。

寝起きの目には眩しい光がぼんやりと辺りを照らし、無機質な文字に目を凝らす。