「でも、変える力なんてないよ」
結局は自分に自信のある人が、変化を生み出していくのだから。

一言を何気なく言える人と、考えて不安になって色々なその後を想定して、口に出すか決める人と。
その違いをいつだって思い知る。

「葵、今頭の中で言い訳してるでしょ」
鋭く言った小夜にひやりとしたが、危うく平静を保つ。

「言い訳じゃない」
「うそ。どうせ自分と人気者の人は元が違うとか考えてるんじゃない?」
あまりの図星に目が眩んだ。
「だって」
自分でも情けない。
こんなことを言ってる暇があるなら努力しろという言い分も最もだ。小夜の言いたいことくらい分かる。

それでも考えてしまうのは習慣で、結局は自分を守るための言い訳だ。守るための防備、逃げるための保険。
そんなものが好きなわけではないのに、取り繕って笑える自分が心底嫌いだ。