「どうするんだ?」

「ホテルに電話して、空き状況を聞いてみようと思います」

「え?今から?無理じゃないか?」

うん。私もそう思う。

今日は金曜日。

しかも、明日明後日はここら辺でお祭りがある。

結構有名なお祭りで、見に来るお客さんが多い。

ホテルなんかどこも満室だろう。

「どうしよう……」

ガクッと首を項垂れた。

もう、どうしてこんな事になっちゃったんだ。

放火なんてしてるんじゃないよ!と叫びたくなって来た。

「ウチに、来るか?」

「えっ……!?」

突然の申し出に、項垂れていた顔を勢いよく上げた。

「あ、いや、変な意味はないんだ。ただ、泊まる所がなかったら困るだろう?幸いウチには使っていない部屋もあるし、だから…その、無理にとは言わないが……」

私の反応を敏感に察知したのか、課長の説明がだんだんしどろもどろになる。

そんな焦らなくても、別にいかがわしい事をされるかも、なんて思ってないですよ。

私は少し考えたあと、

「あの、じゃあ…お邪魔しても良いですか?」

と課長の申し出を素直に受けた。

断られると思っていたのか、課長が目をまんまるにしている。

「あ、ああ。中条が良ければ」

「じゃあ、よろしくお願いします」

私は頭を下げた。

「ああ、こちらこそよろしく」

課長まで頭を下げた。

……なんで?

顔を上げ、顔を見合って、二人してぎこちなく笑った。