「はぁ……」

色んな事があって、ちょっと疲れてしまった。

肩を落とし、大きなため息が口をついて出る。

「大丈夫か?」

課長が心配そうな眼差しを向ける。

「あ、はい。なんとか」

と答えたものの、疲労感は半端じゃない。

「あの、ちょっとすみません」

私は携帯を取り出し、電話帳を開いて『千歳』を画面に表示させた。

「うん?どうした?」

「あ、今日千歳…三嶋の家に泊めてもらえないか聞いてみようと思いまして」

「ああ、なるほど」

千歳にコールする。

千歳はすぐに出てくれた。

「あ、千歳?突然なんだけどさ、今日、泊めてもらえないかな?……うん。実は、アパートが火事で燃えちゃって…そう、うん…私は大丈夫。どこもケガしてないから。うん………あ、そうなんだ?うん、うん。じゃあ無理だね……ううん!いい、いい!そんな事しなくていいよ!ホント、いいって!大丈夫!ホテルかどっかに泊まるから……うん、うん…じゃあ、ケンさんによろしくね……ううん、こっちも突然ごめんね。ありがとう。うん、じゃあね」

電話を切り、ため息を吐いた。

「どうしたんだ?」

「あ…遠距離恋愛中の彼氏さんが遊びに来ているみたいで……」

「ああ……」

課長が苦笑いを浮かべる。

そうだよね、そんな感じの反応になっちゃうよね。

しかも、彼氏さんに帰ってもらうって言い出したから、それは止めてと言っておいた。

久々に会えたはずだから、邪魔をしたくない。