なんか、嫌な予感がするんですけど?

「まさか、食べさせて欲しいて事ですか?」

「うん」

「うん、じゃありませんよ」

ちょっと可愛いな、なんて思ったけど、流石にこれは……。

でも、私が躊躇っている間も、口を開けてずっと待っている。

マジか。

こうなったら意地でも引かない性格なのはこの間でイヤと言うほど思い知らされている。

「……もぅっ!」

私はチョコレートの包みを開けて、課長の口へ放り込んだ。

「これで良いですか!?」

「うん、ありがとう。美味い」

ニコニコしながらチョコレートを頬張る。

(はうっ!!)

その姿に、ズキュゥゥゥン!と心臓を撃ち抜かれた。

(や、やられたっ!)

その無邪気な笑顔と来たら……。

母性本能がさく裂した瞬間だったと思う。

私は残りのチョコレートも口に放り込んで、これ以上やられない様にまた目をつぶった。