その内二人は手を繋いで向こうへ歩き出した。

(待って!誰なの!?)

どんどん行ってしまう。

――ヒュンッ!

(わっ!)

不意に、私の横を白い何かが通り抜けた。

(え?)

猫だった。

新雪の様な、真っ白い猫。

その猫はなんの迷いもなく、私たちの方へ走って行く。

二人に追い着くと、私の足にすり寄った。

私は猫を抱き上げ、また歩き出す。

猫は私の腕に抱かれて幸せそうだ。

(待って!)

やっぱり二人に私の声は届かない。

しかし猫には届いたのか、耳をピクピクとさせて私の方を振り向いた。