「調子はどう?」

「え?あ、大丈夫です……」

本当は全然大丈夫じゃないけど、咄嗟にそう答えた。

こちらに近づいて来る課長を、目で追う。

「あれ、じゃあこの薬、要らなかったかな」

カチャっとベッド脇のダッシュボードの上に置いたトレイには『二日酔いに効く!』と書かれた薬の箱とお水が乗っていた。

「……いえ、頂いていいですか?」

この様子だと明日確実に二日酔いだし、飲んでおいた方がいいかも。

「うん。どうぞ」

「ありがとうございます」

手渡された薬を、水で流し込む。

お酒でフワフワしていた体に、冷たい水が心地良い。

ふう、と息を吐き、なんでこんな状況になっているのかおずおずと課長に尋ねた。

「あの、ここは課長のご自宅ですか?私、なんでここにいるのでしょう?」

「全く覚えていないのか?」

課長が目を丸くして、信じられない、と言った顔をする。

「……はい」

「まあ、あれだけ酔っていたら覚えていないか。三嶋くんから電話があったんだ」

「千歳から?」

「ああ。『中条が酔って潰れてしまい送って行けません。課長、引き取りに来てくれませんか?』って」

「マジですか?」

「うん。マジ」


千歳~!!

放置されるよりは確かに良いよ?でもよりにもよって、なんで課長に連絡を入れるかな~!

「さっき、彼氏と会うと言ってウチを飛び出して行かなかったか?それとも三嶋も一緒だったのか?なんで彼氏に送って行って貰わなかったんだ?」

うっ。質問攻め。

まあ、そりゃそうか。

あの勢いで飛び出して行ったら、普通は彼氏と会っているもんだと思うだろう。

てか、そう言ってここを飛び出したし。

課長は無邪気な顔で私の返答を待っている。

仕方ない。

私はこれまでの経緯を話した。