「しかし、中条の髪は本当に柔らかいな。これじゃちょっとした事でも絡まってしまって大変じゃないか?」
「はあ、まあ……。小さい頃はちょっと風が吹くと絡まって鳥の巣みたいになってましたね」
「でも、手入れが行き届いている」
「コンプレックスなんで、そこは頑張ってます」
「そうか。じゃあ俺は中条の頑張りに感謝しなきゃだな」
話している最中も課長はずっと私の髪を梳いている。
たまに優しく頭を撫でるから、だんだん眠くなって来てしまった。
(ヤバい。このままじゃ寝ちゃう……)
今日は「断る」と心に決めて来たと言うのに。
心の片隅で『こんなのだったら悪くないかも』と囁いている奴がいる。
一瞬にして決心が揺らぐ位、心地いい。
課長の手が大きくて温かいから、安心感だろうか?
(もう、なんでもいいか……)
ウトウトと、本当に眠りに落ちそうになった時、
――ピリリリリッ!ピリリリリッ!――
と、私の携帯が鳴った。
その音で、一瞬にして現実に引き戻される。
慌ててポケットから取り出すと、画面には『和矢』と表示されていた。
「ちょ、ちょっとごめんなさい!」
私は勢いよく起き上がり、考えなしに電話に出てしまった。
「はあ、まあ……。小さい頃はちょっと風が吹くと絡まって鳥の巣みたいになってましたね」
「でも、手入れが行き届いている」
「コンプレックスなんで、そこは頑張ってます」
「そうか。じゃあ俺は中条の頑張りに感謝しなきゃだな」
話している最中も課長はずっと私の髪を梳いている。
たまに優しく頭を撫でるから、だんだん眠くなって来てしまった。
(ヤバい。このままじゃ寝ちゃう……)
今日は「断る」と心に決めて来たと言うのに。
心の片隅で『こんなのだったら悪くないかも』と囁いている奴がいる。
一瞬にして決心が揺らぐ位、心地いい。
課長の手が大きくて温かいから、安心感だろうか?
(もう、なんでもいいか……)
ウトウトと、本当に眠りに落ちそうになった時、
――ピリリリリッ!ピリリリリッ!――
と、私の携帯が鳴った。
その音で、一瞬にして現実に引き戻される。
慌ててポケットから取り出すと、画面には『和矢』と表示されていた。
「ちょ、ちょっとごめんなさい!」
私は勢いよく起き上がり、考えなしに電話に出てしまった。