私は課長の絶叫にポカーンとしてしまう。

と言うか、そうするしかなかった。

私に触りたかった、って……つまりそう言う事だよね?

「あの、それって……」

私が言い終わるか言い終わらないかのタイミングで、

「変態なんだよ、俺はっ!」

と課長が膝から崩れ落ちた。

「かちょ……」

「最初は、ルイの様に可愛がっていたつもりだったんだ……でも段々中条を女性として意識するようになって、ルイとは思えなくなって来て、中条と一緒に居ると安心出来て……そしたら無性に中条に触れたくなってそれで……っ」

「課長」

一人でテンパっている課長の肩をポンと叩いた。

顔を上げた課長に優しく微笑み、

「心配しないで下さい。私も同じですから」

と言ってあげた。

「中条……本当か?」

「はい。好きな人に触りたいって思う事は変な事でも変態な事でもないです。普通な感情ですよ」

私だって課長に触れたいと思うし、一緒に居たいと思う。

好きな人に向ける感情としては至極当然だ。

「私、本気でルイちゃんの代わりだと悩んでました。でも、良かった」

課長に手を伸ばし、立ち上がる。

「中条、不安にさせてすまなかった。俺は中条が好きだ」

「はい。私も課長の事が好きです」

私達はそのまま見つめ合う。

課長の顔が近付き、あ、キスされる?と目をつぶってその時を待つ。