身代わりペット

その時突然――、

「中条紗月いる~~!?」

と、大きな声で私を呼ぶ声がして、私含めオフィスにいる全員が声のする方を振り向いた。

「なんで……」

そこには、ニヤニヤしながら何か紙の様な物を持って立っている、和矢の姿。

の横に、何故か新井麗子の姿もある。

何かイヤな予感がしたけど、和矢を見るなり私は身体が硬直して動けずにいた。

「あ、いたいた。紗月~!」

と、私を見付けた和矢は、名前を呼びながらこちらに向かって来る。

その場にいる全員が「何事か?」と和矢を視線で追った。

和矢を追った視線の先にいた千歳が不意に目に入ると、もの凄い形相で和矢を睨んでいる。

それこそ、般若の様な形相で。

「なんにも連絡くれないからこっちから来てやったよ~。ありがたく思えよな」

そう大声を張り上げて近付いて来た和矢が、私の目の前で足を止める。

「……なんの用?」

カラカラに乾いていた私の口からかろうじて出た言葉はそれだった。

「なんの用、って酷いなぁ。昨夜メールしただろ~?」

持っている紙をペチペチと反対の手に打ち付け、ニヤッ…と笑った。

すると、

「コレ!どう落とし前付けるのかって聞いてんだよ!」

そう叫んだかと思うと、持っていた紙をみんなに見える様に床に叩き付けた。