聞き間違い?

いいや、聞き間違いなんかじゃない。

確かに課長は寝言で『メグミ』と迫田課長の名前を呼んだ。

「え?なに?もしかして課長って、迫田課長の事……」

それ以上は口にしたくなくて、口を噤む。

「え……え?」

課長は迫田課長の事が……好き……?

「え、じゃあ今までのって……」

膝枕とか手を繋ぐとか妙に近い距離感とか、ただ単にルイちゃんの延長線上の甘えであって、特になんの意味も持たない物だったって事?

それを私が勘違いをして一人で舞い上がってただけ?

(でもだって……)

課長の今までの振る舞いを誰かに話したら、誰だって私と同じ勘違いをしてしまうだろう。
それ位、最近の課長の行動は私を「もしかしたら」と期待させるには十分だった。

しかし、夢にまで見る迫田課長。

これを好意以外のなんと呼ぶ?

「そんな……」

私を混乱させている張本人は、未だにスヤスヤと寝息を立てて膝枕で寝ている。

その寝顔をボーッと見ながら呟いた。