「は~、お腹いっぱい」

夕飯を食べ終え、課長と別れて自室に戻った。

ベッドに横になり、ごろんと寝返りを打つ。

なんとなく、課長と繋がれていた手をじーっと見る。

結局やっぱり、マンションに着くまで課長は手を離してくれなかった。

「私的には全然良いんだけど、課長は一体どう言うつもりなんだろう?」

付き合っても居ない女性と、簡単に手を繋ぐ。

これってどう言う事だろう。

「ていうか、度々あるんだよね……」

不思議な事の一つに挙げていたけど、課長との距離がなんだかグッと近くなった気がする。

一緒にテレビを見ている時も、前まではお互い別々のソファーに座って見ていたけどいつの間にか課長が私の隣にくっ付いて見てたり、呼ばれたから行ってみても、私が課長に膝枕をされるんじゃなく私に膝枕を要求して来たり。

なにかと距離が近い今日この頃。いかがお過ごしでしょうか――。

「ええ、そりゃあもうドキドキの毎日を過ごしておりますよ」

一人でブツブツと心の声と対話をしていると、コンコンコンッ――とドアをノックされ飛び起きた。

「はいいっ!!」

急いでドアを開けると、にゅっとお酒の瓶が差し出される。

え?と思い顔を上げると、

「これ、一緒に飲まないか?」

と課長からのお誘いを受けた。

「あ、はい」

短く返事を返すと、「よし」と頷いた課長に手を引かれ、先程別れたリビングに戻る。