帰りの車の中は、静寂が車内を包んでいる。

あれだけ、騒げばこうなるよね。

「楽しかったか?」

佑樹君が私にそっと話しかけてきた。


私は小さく頷いた。

「瑞紀。少しずつ楽しい事増やして行こうよ。こいつらは瑞紀の過去を知らない。俺も話すつもりもない。こいつらは今の瑞紀が瑞紀なんだよ。瑞紀の事かわいそうとは思わない。だから少しずつでいいからさ。」

確かに今日は楽しかった。でも、それは心から楽しいとは思えなかった。
心から楽しいと思えるのは蓮と過ごす時間だけ。