蓮が荼毘にふされる時も、他人事のごとく淡々と進められて行った。
私の心が現実について行けないままお葬式は終わった。

四十九日を迎えるまでの間、私は一体何をしていたのだろう。その間の記憶が私にはない。

多分、脱け殻だったんだよね。

そして・・・。
四十九日。

私の心が脱け殻のまま、蓮との約束の日を迎えた。

私は蓮と3つ約束した。

1つ目の約束が、四十九日が終わったら「復氏届」と「姻族関係終了届」を出す事。



今泉瑞紀から藤本瑞紀に戻る。



それは・・・・。




お義母さん・お義父さんとの姻族としての関係を解消する事を意味する物。




病気が見つかってから蓮は俺が亡くなったら俺の事忘れて幸せになってって。

私はこのままでよかったのに。
私の一生に一度の大恋愛は蓮だけだよ。


2つ目の約束は遺骨も位牌もお義母さんとお義父さんが管理する事。

だから、蓮との思い出は結婚指輪と写真、蓮が歌っている“出逢いの奇跡”の動画だけ・・・。

これだけあれば私は十分・・・。



最後の約束は1周忌が終わったら完全に今泉と関係を断ち切る。





1年経ち私の心は、ガラスのかけらのようにもろく、そして闇深くなっていった。