ガチャン。




しばらく屋上でゆっくりしてると誰かが来た。

せっかく1人で楽しんでたのになぁ……




「あっ。今日は先客がいるのか……」



屋上に来たのは金髪でいかにもチャラ男って感じの男。でも、イケメンかも……



よく見るとさ彼の瞳はビー玉みたいに澄んでて……今にも吸い込まれてしまいそうで


消えてしまいそうな………




「あのさっ」


彼にしばらく見とれていると、彼が声をかけてきた。




「あっ!すいません!」



私がその場を立ち去ろうとすると



「まって!」



彼が私の腕を掴んだ。




「あのさ、君、ここにいるってことは暇……なんだよね?」



「えっ?!あっ。まぁ………」



「そっか、ならせっかくだから俺の相談に乗ってもらえないか?」



「相談…………」




相談か久しぶりだな……

たまには人の話を聞くのもいいかもしれないね。




「わかった。聞いてあげる。」





「あぁ。ありがと」



相変わらず無愛想な返事だったが、彼はとても嬉しそうに笑った。




笑った彼……すごく素敵。





この幻想的な雰囲気もそれを更に引き立てている。





ピチャッ。



とっても静かな屋上。


2人だけの時間が流れる。



「俺、家が医学系の家系で、俺の兄さんも、いとこも、みんなお医者さんなんだ。
母さんとか親父には、医者になれって言われてる。」




「うん。」






「でもね。俺。医者なんかじゃなくて、ピアニストになりたいんだ。」



「ピアニストか………」




「あぁ。
俺、昔から兄達みたいに運動やらないで、習い事はピアノ習ってたんだ。」




「ピアノを引いてる僕はとっても俺らしくて、親の言いなりになんてなってない!って感じる。」



「でも、どんなに親にこの思いを伝えても『だめ』の一点張り。」





「うん………」







「君ならどうする?」





「えっ?!」





「親に反対されても自分の夢叶える?
それとも、
親の言うとうりにする?」




んー。難しい。

けど、彼の人生は彼もの、自分から道を開いてもいいんじゃないかな?


だったら答えはただ一つ。




「私だったら………」










「親に反対されても、自分の夢を叶えるよ」






「なんで?」







「だって、自分の人生自分だけのものだもん。
元々用意された道を行くのはとっても簡単だけど、
自分から道を切り開くのはすごく大変。」





「うん。そうだね」





「でも、自分から道を開くからこそ、掴めるものはあるともう。
私だったら、自分を高めたいと思うな。」






「そうだな。自分の人生俺のものだね!」



「うん。」




「君には大切なものを気づかせてもらった気がするよ。ありがと。」







「うんん!こちらこそ。いい暇つぶしになったよ。」








「俺もう行くわ」




ピシャッ。ピシャッ。




バタン。



シーーーーン。