「郁麻が私に?珍しいね」



郁麻は全くと言っていいほど人を頼らない。だから、こんなケースは珍しいのだ。



いつの間にかクラスには、私と彼しかいなかった。




「修学旅行、ハルに幸せになってもらいたい」





彼が唐突に放った言葉。さっきまで吹いていたそよ風も今は、眠ったかのように静かだ。




「それは、どうゆう?」




「ハルは仁美のことを慕っている。


でも、女遊びが激しかったハルは、心の底から愛する人への愛し方が分からないって言ってた」




郁麻の真剣な瞳。私の心が温かい気持ちになった。





「ハルに幸せになってもらいたい」