またある日の放課後の出来事。



私たちの修学旅行はもう、目前だった。




あ、言い忘れていた。

私は京都に行きます。すごく楽しみなの。






心の中で、誰に語りかけたのかよく分からなかった。




今日も校舎には仁美のテナーの音が響いていた。




私も帰るか。と、バッグを肩にかけた瞬間、私の名を呼ぶ声が聞こえた。









この声は間違えない。郁麻よ!





私は思いっきり彼の方を見た。思いっきりすぎて少し首を痛めた。





彼は本の隙間からこっちを見て、“来い”と手招きをしていた。