あの日失った想い

「…つうかさ、このいい感じの空気で苗字呼びってヤバくね?」


ハルくんが笑いながら言った。たしかに、これはハルくんの言う通りだ。


「んー、でも、どう呼べばいいの?」


私はんーと唸った。ハルくんは苦笑しながら、私の頭に手を置いた。

「ハルって呼べよ、由佳里。仁美もな!つかさ、みんな名前呼び捨てで呼ぼうぜ!」


ハルくんが私の顔の真ん前でニカッと笑った。

……あぁ、そうだ。ハルくんはやっぱりキラキラしている。


「やっぱ、私とは違う」


誰にも訊こえない声で呟いた。

私みたいな、平凡すぎる人とはできが違う。


「私それ、賛成だ!ハル、郁麻改めてよろしくちゃん!」


語尾をかわいくしたかったのだろうか、今も1人で「ちゃんちゃん」と連呼している。


「郁麻ー、お前もいいだろ?」


「…どうせ否定しても、言う事きかないだろ?」

「たりめーじゃん!」


郁麻くんはため息をつきながら、ハルくんに腹パンしていた。

でも、2人ともどこか楽しそうだった。






この3人は私とは正反対の人たち。


みんなそれぞれ、自分にしかない輝き持っている。


私、この3人と一緒なら変われる気がするんだ。



住む世界が違う人たち。でも、一緒にいさせてね?


郁麻、仁美、ハル