あの日失った想い

「由佳里返事は?」



郁麻が私の耳元で囁く。



「お前の返事が訊きてぇ」



「ん……」



彼の吐息が耳にかかってくすぐったい。



…ていうか、郁麻ってこんなに積極的だったっけ!?いや、別に嫌じゃないけど。




本当にこんなかっこいい男の子にこんなことされたらたまったもんじゃない。




心臓の鼓動がいっこうに収まってくれない。








私も返事をしなければならない。心はもう決まっているのだから。







そのために、私はあなたに逢いに来たのだから。