あの日失った想い

またその質問か。んー、どうだろー。



私にとっての運命…………んー、やっぱり難しいなー。












……ううん、悩む必要なんかない。以前の私は答えられなかった。



そうだ、これだよ!とっておきの、私の答えがある。













「えっと………私にとっての運命はね、人と歩んでいくこと。



私と郁麻が出逢ったことも運命。私が仁美やハルと切磋琢磨して成長していくこともまた運命。



運命ってね、目には見えない、糸みたいなものなんだよ。




それは世界中の人が皆持っている、自分にしかない自分だけの糸。




たくさんの人と繋がり、ときに絡まって切れる。


でも、不思議とまたその切れた糸は気づいたら元通りに繋がっている。





私と郁麻のように。




私の切れた糸を繋いでくれたのは、私の周りにいるみんなのおかげ。



みんなが私を支えてくれたから、今、私の運命の糸はあなたと繋がっている。




ね?人と何かを歩んでいるでしょう?




だから、私にとっての運命はね、その糸をたくさんの人と繋げていって、大好きな人たちと共に笑って、泣く。




運命は一緒に歩んでいくことなんじゃないかな」




言い終えると、郁麻は口角を上げていた。